高齢者の肺炎球菌感染症とワクチンについて

 

  1. 肺炎球菌感染症とは?

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は、主に肺炎、敗血症、髄膜炎などの重篤な感染症を引き起こす細菌です。特に高齢者では重症化しやすく、死亡率も高いため、予防が重要です。

 

  1. 高齢者における肺炎球菌感染症のリスク

高齢者(65歳以上)は以下の理由で肺炎球菌感染症のリスクが高くなります。

  • 免疫機能の低下:加齢により免疫応答が弱くなり、感染症にかかりやすくなる。
  • 基礎疾患の存在:糖尿病、慢性心疾患、慢性呼吸器疾患(COPDなど)を持つ人はリスクが高い。
  • 高齢者施設での集団生活:施設内感染のリスクが高い。
  • 喫煙やアルコールの影響:肺の防御機能が低下し、感染しやすくなる。
  1. 肺炎球菌ワクチンによる予防

肺炎球菌感染症はワクチンで予防可能です。特に高齢者ではワクチン接種が有効な予防手段とされています。

主な肺炎球菌ワクチンの種類

ワクチン名 対象血清型数 免疫の種類 推奨対象
PCV13(プレベナー13) 結合型 13種類 長期免疫 免疫不全者や特定疾患のある高齢者
PCV15(バクニュバンス) 結合型 15種類 長期免疫 免疫不全者や特定疾患のある高齢者
PCV20(プレベナー20) 結合型 20種類 長期免疫 一般高齢者に推奨
PPSV23(ニューモバックスNP) 多糖体 23種類 短期間(約5年) 追加接種が必要な場合あり

結合型(PCV)と多糖体(PPSV)の違い

  • 結合型ワクチン(PCV):免疫記憶を形成し、長期間の効果が期待できる。
  • 多糖体ワクチン(PPSV):より多くの血清型をカバーするが、免疫持続期間が短い。

 

  1. 65歳以上成人に推奨される接種スケジュール

標準的な接種スケジュール

  • ワクチン未接種の65歳以上の方
  • 65歳の者はPPSV23の定期接種:​65歳時にPPSV23を1回接種。その1年後にPCV20(任意接種)​
  • 66歳以上の者は任意接種としてのPCV20
  • すでにPPSV23を接種済みの方
  • PCV20の追加接種:​前回のPPSV23接種から1年以上経過していれば、PCV20を追加接種することが推奨されます。​

 

 

 

  1. 肺炎球菌ワクチンの効果と副反応

効果

  • 肺炎球菌性肺炎の予防:発症リスクを50%以上低減
  • 侵襲性肺炎球菌感染症(菌血症、髄膜炎)の予防:発症率を70~80%低減
  • 入院・死亡率の低下:ワクチン接種により、肺炎による入院や死亡のリスクが軽減

副反応

  • 軽度な副反応として、**接種部位の痛み(30-50%)、発熱(5%未満)、倦怠感(10-20%)**がみられることがある。
  • 重篤な副反応(アナフィラキシーなど)は極めて稀。

 

  1. まとめ
  • 高齢者の肺炎球菌感染症は重症化しやすいため、ワクチン接種が重要。
  • 現在の推奨はPCV20の単回接種が最も簡便で効果的。
  • PPSV23を過去に接種していても、PCV20の追加接種が可能。
  • ワクチンの選択は、基礎疾患や過去の接種歴を考慮して決定。

高齢者の健康を守るために、適切な肺炎球菌ワクチンの接種を推奨します。

 

 7.当院ではワクチン接種を行っております。

電話でご予約可能です。または当院スタッフまでご相談ください。

 

ニューモバックス(PPSV23)       9,900円 (自費)

プレベナー20(PCV20)            13,200円(自費)

ニューモバックス(PPSV23)       3,000円(公費) 

(2025年4月5日現在の価格です。)

上記の金額以外に初再診料がかかります。

 

 

東戸塚メディカルクリニック